先日、京都新聞の取材を受ける機会がありました。取材内容は自宅の家具。自宅をマンションを購入した際、全ての家具を設計し、知人に制作を依頼しました。その知人の紹介で取材を受けることに。
家具に限らず設計(ものつくり)する際は、初めにコンセプトを設定する事を心掛けています。コンセプトが決まれば、細部はなどは自ずと解決してゆきます。今回の家具のコンセプトは『廃材の利用』。ダイニングテーブルと、ベンチシートは銘木の廃材を継ぎ合わせて制作し、その他の家具は京都北山産の杉間伐材で制作。廃材とはいえ、銘木を継ぎ合わせたダイニングテーブルとベンチシートは狙い通りの仕上り。また、杉間伐材を利用した各家具の出来にも満足。
知人は京都では老舗の銘木店を営んでおり、その高い見識と技術無しでは今回の家具は制作できなかったと思う。しかし、京都の銘木店をめぐる環境は年々厳しくなり、廃業に追い込まれる店が続出している。原因のひとつに、現在の住宅は和室が簡略化されるか、もしくは削除され銘木(たとえば床柱)の出番が無くなったが挙げられる。
この問題は一業種の衰退だけの問題ではなく京都の環境問題にも暗い影を落としている。今まで京都の山はこれらの銘木業者(材木業者など)が管理を行っていたが、業界の衰退共に山の管理が行われなくなり山が荒れ始めている。知人曰く、『たとえば、杉の木を一本切って山から下ろして販売すれば、約3,000円の赤字になる。これでは誰も山には入りません。昭和初期に計画植林された杉などは今、伐採の時期を迎えているが誰も切らない。年々ひどくなる杉花粉は、杉の【切ってくれ】という悲鳴です。』
非力ではあるが、少しでも上記の問題を意識しながら今後も制作活動を続けてゆこうと思う。
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